内視鏡
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内視鏡洗浄

内視鏡を洗浄する為に一般的な病院では、内視鏡(スコープ)の洗浄消毒にオリンパス社製自動洗浄装置OER-2を用いています。

内視鏡洗浄における洗浄機の有効洗浄回数の固定化

内視鏡洗浄それに使用する消毒液は、サラヤ(株)の過酢酸消毒液(以下アセサイド)を使用し、その有効濃度は0.2%以上で洗浄前の濃度チェックが推奨されている。

アセサイドには経時劣化があり、実回転数と洗浄機の回転数は違うため、それを踏まえての洗浄記録が求められていた。

そこで洗浄消毒における感染対策の徹底のため、濃度管理の精度を高めるための濃度チェックと併せて、洗浄消毒記録を新たに作成することで消毒液の経時劣化を含めた有効洗浄回数を固定化し、安全に受診者に提供できるための質の向上に努めるべく調査検討したものを紹介します。

背景

今までの洗浄回数は固定化されておらず、経時劣化を含まない実回転数で洗浄されていた。また有効洗浄濃度測定は、アセサイドチェッカー(以下テープ)にて目視のみの判定としていた。
しかしテープでの判定は、数値化されておらず季節(気温など)や測定する看護師の主観により個人差があり、判定誤差が生じることが問題視され不安の声も聞こえていた。

目的

  1. 使用していた洗浄履歴表をチームで検討し、経時劣化(3回/日)を含めた洗浄履歴表を新たに作成する
  2. 濃度管理の精度をより高めるために、テープとチェッカーでの有効濃度0.2%を下回るタイミングの把握と、経時劣化による過酢酸の濃度低下について季節変化を考慮に入れ比較検討を行った。

方法

  1. 新洗浄履歴表の作成
  2. 濃度チェック

オリンパス社製内視鏡自動洗浄機OER-2に使用する過酢酸消毒液(商品名:アセサイド)の
有効濃度判定ツールとして、一般的な病院で使用している従来からのテープと2010年に発売されたポータブル濃度チェッカーPC-8000(以下チェッカー)を借用し測定する。

外気温が最も高い8月と、低い2月に実施する(夏場)8月1日から実施(冬場)2月 予定 

対象

  1. 現在まで使用していた洗浄履歴表を元に作成
  2. 新洗浄履歴表を用い、3台のOER-2に対してオリンパスが推奨する有効洗浄回転数25回目からペーパーとチェッカーの有効濃度の測定を実施

結果

  1. 新洗浄履歴表の作成…使用開始当初は、経時劣化が上手く伝わらないことも心配されたが、その都度説明を行い大きな問題も起こらずに現在の使用に至る。
  2. 濃度チェック(途中経過:8月の濃度チェックの結果より)
    洗浄機毎に比較すると、洗浄回数に違いがみられた。テープとチェッカーとの回数に開きはあるが、 チェッカーからみてペーパー判定+(プラス)2〜3回は使用できていた。 今までのペーパーにて行われていた濃度チェックには問題はなく、むしろ安全圏内であったと考える。

考察

使用したチェッカーは、濃度管理を行う上で良い指標となった。数値化されることは、測定者間の誤差も生じず、安心感が大きいと感じた。しかし、現状で使用していたテープのチェックでも問題はなかったとの裏付けにもつながり、安全に内視鏡検査を提供できていることを確信することができた。

また、アセサイドの経時劣化を洗浄履歴表に組み込むことで、より濃度管理の精度は上がり、大変有用であったと考える。